文の幸福
「・・・ところで、歯が黄色くても愛しいって思える?」

「・・・なにそれ、気持ち悪い。」
今まで黙ってた陽子がちょっと怖い顔で言ってきた。

陽子は、冷たい感じがひしひしと伝わるクールビューティー女子高生。
将来の夢は無いと言っていたが、私の予想ではワンマン会長を手のひらで操作する敏腕秘書になると思う。

いつも静香との会話を目線だけで参加するのだが、時折引っかかるワードが出たときのみ発言する。
その発言が心臓がギュルってするほど怖い時もあれば、キュン死するほど男前の時もある。ただ、一呼吸で話せる範囲でしか話さない。

私たち三人はクラスで唯一U中出身って事で、一応仲良しのはず。。
だが、この二人が朝から学校くること自体めずらしい事。

「それにしても、何?今日は単位ギリのでもあるの?」

「芸術が一限目でしょ!あれ、日数少ないからサボり過ぎるとヤバイのよね、」

「あー二人とも、一回休んだよね、あと一回しか休めないもんね」

「お前はあたしらのストーカーか!きも!・・今夜クラブ行くから、明日は午後から参加って事で。文もクラブ行く?」

「だからー無理―――!行きたいけど、門限10時。」

「知ってる。ダメ元で誘っただけだから。」

「ふふふ」微笑む陽子・・。

陽子よ・・どこに微笑むポイントがあった!相変わらずミステリーな女だぜ。

ホームルームが始まり、二人は前を向いたように見せかけて寝る体制をとった。

< 5 / 225 >

この作品をシェア

pagetop