推しが私に噛みつきました。
「いつも、遠巻きに見ていました。……気づいて、いましたか?」
首をかしげると、先輩は「あぁ」と嬉しそうな声を出しました。
「やっぱり、岬もいたよね。自惚れだと、思ってた」
……と、早口で言ったのです。
「部長から、期待の新人の話をされたとき……浮かんだのは、こっち側を見てる女の子のひとりだった。
部長に聞いた特徴のまんまだったから。
黒髪ストレートで、ポニーテールで、色白で」
黒髪。ストレート。ポニーテール。そこまでは、合っています。私のことなのでしょうか。……色白と言われるほど、綺麗な肌は持ち合わせていないと思うのですが。
「あの可愛い子か、って思った。それから、岬の姿を見つけるたびに、目を合わそうと必死だった。
……それなのに、岬は目が合う前に視線をズラすから」
不満そうに言われ、困惑しました。