推しが私に噛みつきました。



「ごめん。ずっとかっこつけてた。ごめん。



でも、嘘はついてない。好きだよ」



……真っ直ぐだなと、思いました。



こんな言葉、薄っぺらい。本当に私が好きなのか。罰ゲームじゃないのか。



他の人だったら、そう考えると思います。



私だって、信じられません。



だって、守賀先輩が、私を……なんて。



でも、気づいてしまったのです。



私のこの気持ちは、ずっと前から……。



「噛みついたりして、ごめんなさい」



申し訳なさそうに唇を動かす彼に、歩み寄ります。



彼のほっぺたを両手で包みこみ、私は自分の気持ちを伝えることにしました。



「先輩、私……先輩が、いいです」



なんて不器用で、なんてかっこ悪い言葉でしょう。



だけど、私らしくいようと思ったら、それ以外に浮かばなかったのです。
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