推しが私に噛みつきました。



「なんとなんと、あの有名な守賀くん!」



部長さんの言葉と同時に、先輩が部室に入ってきて……わっ、と心臓が高鳴りました。



「こんにちは」



ニコニコとしているその姿は、やっぱりかっこよくて……同時に、育ちの良さも知りました。一体どんな教育を受けたら、こんなにもかっこよくて優しいひとになるのでしょうか。



「……可愛いね」



……と。そんなことを考えていると、先輩が私の目の前に来ていました。



「あっ、カップケーキ……ですか?ありがとうございます!



今回は自信作なんですよ」



ついつい、自慢げに笑ってしまった。



……こんなの、自分勝手すぎたかな。背の高い先輩の顔をみていた目線を、ゆっくりと、カップケーキへ下げます。



「……俺は、君に言ったんだけど」
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