Violet Detective
そして、実験に使うのか動物がたくさんいる。虫やネズミ、鳥や犬に猫ーーー。この研究所は東さんともう一人の寄生虫学者がしていると聞いた。二人だけでこれだけの数の動物を世話しているのか。

「お〜い!右京!蘭ちゃんが来たぞ〜!」

東さんはそう言いながら、研究所の一番奥の部屋の扉を開ける。その部屋に入った刹那、私は目の前の光景に目を見開いた。

そこには、膨大な数の医学に関する資料が棚に並べられていた。これだけの数を用意するには相当なお金がかかる。

この資料を全て読むのに、どれほどの時間がかかるだろう……。

資料室には、大きめのテーブルと椅子が置かれていて、そこには読みかけの資料が散らばっている。しかし、そこにもう一人の寄生虫学者の姿はない。

「あれ?ここにいるって言ってたんだけどなぁ」

東さんが「右京〜!!」と言いながら、資料室の奥へと探しに行く。私も手伝おうとした刹那、背後から気配を感じた。

「内服薬、メラトニン受容体作動薬……。なるほと、君は不眠症か」
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