無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
どきどき、してる場合じゃないよ私....!
なんで初めて会った人に、こんなことされてるの!?
「た、ただの地味子ですっ!」
名前を名乗るのはなんだか悔しかった私の、些細なテイコウ。
「へー.....。自覚あったんだ」
桜雅くんはクスッと笑いながら、そんなことを言ってくる。
明らかにその瞳にからかいの色が滲んでいるのは、私の気のせいだと思いたい。
「....も、もう離してください!」
こういうのに慣れていない私は、羞恥心でどうにかなってしまいそう。
頬が熱いのは、ぜったいに不可抗力。
「むり。名前言うまで離さねえよ」
言葉通り、私が名前を言うまで話すきは無いようだ。
私の名前なんて、どうでもいいくせに!
.....なんて、口に出す勇気はない。
心のなかで悪態をつきながらも、おずおずと口を開く。