無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



どきどき、してる場合じゃないよ私....!


なんで初めて会った人に、こんなことされてるの!?



「た、ただの地味子ですっ!」


名前を名乗るのはなんだか悔しかった私の、些細なテイコウ。


「へー.....。自覚あったんだ」


桜雅くんはクスッと笑いながら、そんなことを言ってくる。


明らかにその瞳にからかいの色が滲んでいるのは、私の気のせいだと思いたい。



「....も、もう離してください!」



こういうのに慣れていない私は、羞恥心でどうにかなってしまいそう。


頬が熱いのは、ぜったいに不可抗力。



「むり。名前言うまで離さねえよ」



言葉通り、私が名前を言うまで話すきは無いようだ。


私の名前なんて、どうでもいいくせに!



.....なんて、口に出す勇気はない。


心のなかで悪態をつきながらも、おずおずと口を開く。



< 19 / 430 >

この作品をシェア

pagetop