15年目の小さな試練
 その後は、わたしも何とかお弁当を食べ終えて、四人で移動を開始。

 三限は、正にカナがインフルエンザでお休みの間に、わたしが具合を悪くして、田尻さんと幸田くんに助けてもらった講義。だから、四人で一緒に移動して、四人で並びの席に座った。

 そうしたら、なぜか高等部の時に同じクラスだった人たちが集まってきて、教室の一角が同窓会会場みたいになってしまった。

「ハルちゃん、元気だった~?」

「ハルちゃん、ギリギリにしか来ないし、すぐ移動しちゃうし、なかなかしゃべれないよね」

 移動に時間がかかるから、大抵教室に入るのはギリギリになっちゃうし、次の教室への移動も急がないと間に合わないから、終わったらなるべく早く移動するんだ。

「えっと……ごめんね」

「ううん。教室移動多い…ってか、移動ばっかりだもんね。ハルちゃん、大変でしょ」

「でも、時間ある時、またおしゃべりしようね」

「うん」

 そんな風に言ってもらえて、すごく嬉しかった。

 だって、どちらかというと、わたしみたいな子はお荷物だから。でも誰もそんなことは言わないんだ。

 なんて幸せなんだろう?

「叶太、お前、相変わらず片時もハルちゃんから離れないのな」

「女同士で話してる時くらい、ハルちゃん離してやったら?」

「いや、それやったら、もう叶太じゃないだろ」

「そりゃそうだ!」

 椅子に座るわたしを後ろから抱きしめたままのカナ。

 飛び交うからかいの言葉。それもまた、たまらなく懐かしかった。
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