冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「皆んな本当にゴメンなさい! わたしの所為で迷惑かけて」



真摯に謝る事しか出来ない。責められるは愚かなわたしの筈なのだから。



「最初に言っただろ。別に雫の為じゃないって」



蓮は何事も無かったかのように、ニコリと笑みを浮かべてくれた。
わたしは泣き出しそうになったが、何とか涙腺をグッと閉じた。



「それじゃあ、今日のところは解散としますか」



ムードメーカーの雄大が、鬱々とした場を区切りよく終わらせた。



ライブハウスを出て直ぐに、帰宅路が違う四人とは別れた。



わたしは蓮と小春、三人でまだ肌寒い夕方の田舎道を歩く。



殆ど会話は無い。



肩を落として歩く小春に、歩幅の大きい蓮はゆっくりと歩調を合わせている。



二人の後ろを歩くわたしはどんな表情をすれば良いのかわからずに、只々、通い慣れた道を歩くだけだったのだ。



「あれ? さっきのお姉ちゃんかな?」



「人違いでしょ。だってあんなにニコニコしてなかったもの」
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