冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
乙女モードは一旦断ち切り、そのままベッドに寝そべりスマートフォンを手に取った。



動画サイトアプリをタップし、再生リストにある【フューチャーズ・ザ ・ロック】から、お気に入りの動画を再生させた。
––––蓮が率いるバンドの動画だ。



登録者数と再生数は既に桁数を数えるのが面倒なほどである。



わたしは毎日、画面越しに彼を見るのを日課としていた。コメント欄は英語で埋め尽くされている。



蓮が書く作詞は日本語と英語半々で綴られており、国内を通り越して世界中で人気を博していたのだ。
 

 
暫く動画を眺めていると、画面にチャットの通知バッチが現れた。



動画を一時停止してチャットアプリを開く。––––ギターのヒロトからだ。



チャット内容は『今、時間空いてるか?』と一言だけだ。



何だろう? 用件を考えたがさして心当たりもない。



彼とは七人のグループチャットはするが、個別で連絡が来ることは稀だ。



チャットアプリの電話マークをタップすると、ワンコールでヒロトが電話に出た。
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