あなたの隣で、その約束を。


この時間が永遠に続けば、他に望むものはないの。


隣にいたい理由は、あなたと一緒に生きていきたい、それだけなの。



「……りない」


「え?」


「足りないの。私はもっと……ルーカと一緒にいたい」


「リル……?」




少し動揺したルーカの声に、私はルーカの顔が見れなくなる。


困らせたいわけじゃないの、ただーーあなたが好き、それだけの話。


どうして、幸せを掴みたいのに邪魔されなきゃいけないの?



「私の側近になってくれるんでしょ?」


「うん。約束したから」


「騎士になったら、私から鎧もあげる約束もちゃんと覚えてる?」


「もちろん。どの約束も大切だから」



苦しい想いをしているのは、紛れもなくルーカなのに。


亜人という立場は標的になりやすく、かつルーカは腕があるから妬まれる対象になる。


なのに上の階級に上がれないその事実に、ルーカが苦しんで、悩んでいるのを私は知っている。


それなのに無理な私との約束を大切にしてくれていることに、思わず私はルーカに抱きついた。



「ごめんなさい、困らせたいわけじゃないの」



震える声を堪えながら、私は言いたいこの一言を飲み込んだ。


これ以上困らせてルーカを傷つけたいわけじゃない。





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