異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「おお、あんた確か、今日試験日じゃなかったか?」
接客をしていたランディが真っ先にロズべルトさんに気づき、声をかけているのが見える。
私は最後のお客さんにお弁当を渡すと、テーブル席に腰掛けたロズべルトさんのところへ向かった。
「それが……同じ受験生に嘘の試験場所を教えられて、 行ったらもぬけの殻で……」
耳を疑うような報告に、私とランディの「え!?」という声が重なる。
「急いで役所に行って聞いてみたら、馬車で一時間のところに会場があるってよ。試験はあと四十分で始まるってのに、もう今からじゃ間に合わない……っ」
悔しげに唇を噛み締めたロズベルトさんに、ランディは渋い顔をして腕を組むと腹立たしそうに舌打ちをした。
「なるほどな、ライバルを減らしたかったってわけか」
あんなに勉強をしていたのに、こんな形で終わってしまうなんて……。
ロズベルトさんはすごく悔しいはず。
彼が頑張っているところを見ていたからこそ、私もつらい。
どうにかできないかな、と考えていると──。
「諦めるなと言っただろう」
背後から声が聞こえて振り向けば、肩に米袋を担いだバルドと野菜の入った袋を手にぶら下げているオリヴィエの姿がある。
接客をしていたランディが真っ先にロズべルトさんに気づき、声をかけているのが見える。
私は最後のお客さんにお弁当を渡すと、テーブル席に腰掛けたロズべルトさんのところへ向かった。
「それが……同じ受験生に嘘の試験場所を教えられて、 行ったらもぬけの殻で……」
耳を疑うような報告に、私とランディの「え!?」という声が重なる。
「急いで役所に行って聞いてみたら、馬車で一時間のところに会場があるってよ。試験はあと四十分で始まるってのに、もう今からじゃ間に合わない……っ」
悔しげに唇を噛み締めたロズベルトさんに、ランディは渋い顔をして腕を組むと腹立たしそうに舌打ちをした。
「なるほどな、ライバルを減らしたかったってわけか」
あんなに勉強をしていたのに、こんな形で終わってしまうなんて……。
ロズベルトさんはすごく悔しいはず。
彼が頑張っているところを見ていたからこそ、私もつらい。
どうにかできないかな、と考えていると──。
「諦めるなと言っただろう」
背後から声が聞こえて振り向けば、肩に米袋を担いだバルドと野菜の入った袋を手にぶら下げているオリヴィエの姿がある。