異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「心配かけてごめんね。雪に手当てしてもらったから大丈夫だよ。それより、ロズベルトさんは試験に間に合ったの?」

「ギリギリセーフ、無事に試験を受けれてんよ」


砂浜にしゃがみ込んでいたランディが膝の上で頬杖をつきながら教えてくれる。

ひとまず安堵して、私はエドガーと顔を見合わせると同時にほっと息をつく。

とはいえ、嘘の試験会場を教えられたり、ならず者に襲われたり、イレギュラーな事態に巻き込まれてロズベルトさんも平常心で試験はできなかったはずだ。

焦っていると普段はしないようなミスをしたりするし、今回の一件を起こした受験生のしたことは決して許されない。

エドガーも同じ気持ちだったのか、役所の対応について報告を始める。


「こっちは騙された受験生たちが再試験を受けられるように手配したよ。問題の受験生も失格になる」

「ならず者たちのほうはロズベルトを一刻も早く試験会場に送る必要があったからな。縄で縛って山道に置いてきた。カイエンスの兵に身柄を確保するよう頼んである。次期に捕まるだろう」


バルドが私たちがいなくなったあとのことを話していると、どこからか「おーい」という声が聞こえてくる。

視線を周囲に巡らせれば、遠くからロズベルトさんが駆け寄ってくるのが見えた。


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