異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~


「雪、どうしたの?」


振り返るとロキがいた。

私は慌ててレシピ本を閉じると、「なんでもないよ」と首を横に振る。

この疑問をどう言葉にしたらいいのかも、整理がついていなかったのだ。

私は次々とわいてくるクエスチョンマークを全て頭の外に追い出して、煙突付きの炉の前に立つ。

そこに積まれた薪に火をつけて、上から吊るされた鋳鉄の窯でお米を炊いた。


「それならいいんだけど……あ、朝食を作ってたのね」


近づいてきたロキに、私は踏み台代わりの木箱を置いてあげた。

その上にぴょんっと飛び乗ったロキを見届けると、私は玉ねぎを薄切りにしながら答える。


「おにぎらずを作ろうと思って」


フライパンで豚ロースと玉ねぎを焼き、砂糖とお酒を小さじ一杯、生姜のすりおろしと醤油の代わりにプランブランを大さじ二杯混ぜたものを投入する。


「プランブランの香ばしい匂いがするわね。ご飯が進みそう」

「ご飯が進むって……ロキはウサギでしょう? というか、ずっと聞きそびれてたんだけど、ロキはどうして人の言葉が話せるの?」


この世界の人はロキが話せることに驚いていたので、喋れるウサギは特殊なのだと思う。

手を動かしながら隣を見れば、ロキは耳を垂らして目を伏せる。
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