異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「自分探しの旅か……雪が言うと、なぜか楽しそうな旅になりそうだと思う。考えてみてもいいのかもしれないな」
返事はもらえなかったけれど、バルドさんは「考えておく」と言ってくれた。
***
エドガーの家に居候すること一ヶ月半、ついに念願のランチワゴンが完成した。
外装はオレンジ色とベージュの縦じま模様が入っており、赤色の軒先テントにはニコニコ弁当のシンボルであるニコちゃんマークがついている。
中も広々としたキッチンがあり、私が頼んでいたコンロと冷蔵庫、ポットまであった。
テーブルや椅子、看板なども載せられるようにするためか、エドガーの発明したランチワゴンは日本にあるものより大きい。
「か、可愛い! エドガー、これをひとりで作っちゃうなんて本当にすごいよ!」
「オートモービルの原理を使ったんだよ。色々設備をつけたら大きくなっちゃって、原動機をいくつもつけたから重量もある。実際に走らせてみて、もっと改良していかないと」
照れくさそうに後頭部に手を当てながら、エドガーはずり下がった眼鏡の位置を直して控えめに笑う。
そんなエドガーの手を私は両手で握った。