異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「陛下から無期限の休暇を頂戴した。騎士団は俺がいなくても十分に動ける者ばかりだ。身辺整理も済んだからな、これで心置きなく旅立てる」
「じゃあ、バルドさんも旅に同行してくれるんですね」
「ああ、自分探しの旅だ。もっと広い視野で、これから自分がどう生きていきたいのかを見つけていこうかと思っている」
「私も同じです」
お母さんがいなくなった世界で、私はどう生きていくのか。それはこの場所で考えていても、きっと見つからない。だから、とりあえず動いてみる。
「探しましょう、一緒に。人生の目的を」
同志であることを再確認した私たちが笑い合っていると、馬の嘶きとともに一台の幌馬車がエドガーの家の前に停まった。
そこから出てきたのは、オリヴィエだった。
「ああ、まだいましたか。無駄足にならなかったようで、なによりです」
オリヴィエは仕立てのよさそうなベストの埃を軽く払う仕草をして、私たちのところへ歩いてくる。