恋なんて、しないはずだった
「ちょっと、まずいんじゃない?着替え途中じゃん」



彼女の周りにいた女の子たちが焦ったような顔になる。



「あーら、得意の誘惑してるんじゃないの?」


「.......っ」



ブラウスのボタンを全部開けていたあたしは、バッと持っていたTシャツで前を隠す。



「な、何してんだ?」


「大我くん!この子、自分で出たんだよ!ほら、誘惑するの得意らしいから」


「.......ちっ、馬鹿じゃねぇの。こいつの顔みたら分かるっての」



杉浦くんが、彼女たちをにらみつけて、近くにあったタオルであたしのことを包み込む。



「ごめんな、こんなとこに野放しにして」



あたしに耳打ちをして、ふわっと、あたしを持ち上げる。



「ちょ、ちょっと.......」


「いいから黙っとけ。そんな震えてる足でちゃんと歩けるわけがないだろ」



杉浦くんの言葉に自分の足が微かに震えていることに気がつく。



「あー、もっと注意深く見てればよかった。ほんとーにごめん」



悔しそうな顔をする杉浦くん。

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