同期は蓋を開けたら溺愛でした

「飲む、だろ?」

 背を向けたまま言われ「うん」と消えそうな声で答えた。

 前に言っていた願掛けは、もういいんだろうな。
 結局、なんの願掛けだったのか、今は聞ける雰囲気じゃない。

 おずおずといつもの場所に座り、ビールを受け取る。
 当たり前に座る大友の隣に切なくなって、涙がこぼれそうになる。

「なんだよ。嫌がらせしに来たのか?」

 肩を震わせる私の頭を小突く。

「ごめん」

「何が」

 ビールを開けず、缶を握りしめて思いを吐露する。

「大友が、好き、なの」

「……そう」

 冷めた返事しかもらえずに胸が苦しくなる。
 それでも言わなければと口を開く。

「水野さんとの関係を責めたりできる資格が私には無いんだって、里美と話してやっと気付けて」

 私が話すのを大友は黙って聞いている。

「それと、私、里美に大友との関係を整理しながら話してもらって、自分が思っていたよりもずっと大友のことが……」

 隣の大友が体を寄せてもたれかかった。

「そこからは『雄』で言って」

 突然の温もりに胸が苦しくなりつつも、必死に言葉に表す。

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