同期は蓋を開けたら溺愛でした

 前回からの改善点を大まかに説明し、試作品を渡す。

「実際に触れてみてください。作業に熱中していても汗で滑らない特殊塗料をコーティングしてあります」

 それぞれ試作品を手にして使用感を試している。
 握った感じはサラッとしていて、触り心地はいい。

 実際に水を掛けて速乾性を実演する。

「サラッとした触り心地も加わり、切れ味と掛けて、これでしたら『さらさらカッター』でどうでしょうか」

『さらさら』は譲りたくなかった。
 その上でより良い商品にしようと考え抜いた結果、この仕様を思いついた。

 ジッと商品を見つめ、何度も握っては実際に紙をカットしている増永さんが、なんと言うだろうかと緊張しながら待つ。

「これはやられたね」

 増永さんを唸らせて、ヤッタ! と小さくガッツポーズを取る。

「アンドの件もあるので『スイスイカッター』は、はなから論外として、『サラット』で、どうでしょう」

 最終的に増永さんの案が採用され、『サラット』という商品名でほぼ決定になりそうだ。

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