同期は蓋を開けたら溺愛でした

 大友が焼いてくれたパンを頬張りながら、私は不平を漏らす。

「でもさ、元はと言えば大友が急にお風呂って言うから……」

 私のツッコミにむせ返る大友へ「平気?」と形ばかりの声をかける。

「それは……男の、嗜み?」

 視線をそらす大友をジッと見つめてみても正解を教えてくれそうにない。

「だいたい、私のために鍛えてるの?って質問したのに……」

「そこも、掘り返すわけ?」

 ブスッとした声を出す大友に不躾な質問だったかなと些か反省する。

「聞かれたくないなら、聞かない。でも、部屋着も長いズボンだった?」

 大友はダボついたシャツに、薄手だけれど長いズボンを履いている。

「覚えてないお前が悪い」

 プイッと顔を背ける大友は完全に拗ねてしまったのだろう。
 こちらも答えはもらえそうにない。

 諦めてホットミルクに口をつけると、思わぬ台詞が耳に届いた。

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