私の主治医はお兄ちゃん






病院に着くとすぐに優兄が対応してくれた。


優「駿、ありがとう。すぐに処置をする。待ってる?」


駿「待ってもいい?」



優「待ってあげて。きっと美音も不安だろうから。」










その数分後。

美音の傷の処置が終わった。

今のところ大丈夫そうだど目が覚めた時に何か症状が見られたら検査をするらしい。



優「なぁ、駿。美音何か言っていたりしなかったか?」

駿「何も…話してくれなかった。気付かなかった…側にいたのに。」


優「大丈夫。一回落ち着こう。美音が起きたら話を聞いてみよう。」



優兄はそう言って俺の頭をポンとして病室を出て行った。










駿「…………っ」

息を殺して泣いた。


なんで俺は何もできないんだろう。

こんな思いをするのはどうして俺じゃなくて美音だったんだろう。



そんなことばっかり考えちゃって…





美「駿…介……」

駿「美音!?」

美「駿…泣かないの。大丈夫だよ。」


美音の俺を励ますその声は今にも消えてしまいそうで…



思わず美音を抱きしめた。



美「いったい!!」

駿「ごめ…」


そんなに強く抱きしめていないはずなのに痛がった美音。


駿「美音ごめん。」


美「……ちょっ!駿介!!」




駿「なんだよ…これ…」

美音の服を思わずめくった。

そこには複数の痛々しい痣。



美「……」

駿「どうしたの?これ。自分でもわかるよね?」


美「……………ころ…んだ。」

駿「どこで?」




美「………階段。」


明らかに階段で転んでできるようなものじゃないんだけど…


なんで美音は何も言ってくれないんだよ………








< 100 / 296 >

この作品をシェア

pagetop