私の主治医はお兄ちゃん




携帯は圏外だし…

だんだんと時間が過ぎていくばかりで時計はもう5時を回っていた。



まだ明るいけど肌寒くなってくる。



駿「美音、冷えてきたからこれ着てろよ。」

そう言って自分が羽織っていたパーカーをわたしに着せてくれる駿介。


美「でも駿介その下半袖じゃんっ!」


駿「俺は暑がりだから良いんだよ!あと…さ」



美「ん?」


駿「これ、昨日服選んでくれたお礼。こんな時で悪い。いつ渡そうかと思ってて。」

「はい」っと渡してくれた小さな袋を開けてみるとバレッタが入っていた。




美「可愛いっ!」

そう言って早速つけてみることにした。


私がつけると駿介は少し頬を赤らめて

駿「悪くねーな。」

と言った。




美「駿介ありがとう!大切にするね!」

駿「別に……」


本当は駿介は優しい。

分かってたはずなのにな。




駿「なぁ、美音…」


美「ん?」


駿「聞いちゃダメか?母さんといた時何があったか。」


美「………っ」










"あんたなんか産まなきゃ良かった"
一瞬にしてママに言われた言葉が頭の中に蘇った。


そんな私を見てか手を繋いでくれた駿介。


駿「俺は本気で美音が好きだ!美音を1人になんて絶対にさせない。俺も一緒に乗り越えるから。」



真っ直ぐな瞳で伝えてくる駿介に私は目を反らせなくなっていた。


身体が震えてくる。……でも。


美「うん…話すよ。全部。」










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