私の主治医はお兄ちゃん

それからは本当にあっと言う間に過ぎていった。


毎朝と寝る前に軽い診察を受けて、昼間は少しでもお散歩。



そうしているうちにだんだんと体調も落ち着き、1週間経つ頃にはすっかり良くなっていた。




美「今日パパママ帰ってくるね!!」

優「そうだな。良かったな!」


笑顔で言う私に優也兄は思い切り頭を撫でた。



美「今日パパとママのために駅前のケーキ屋さんでシュークリーム買ってきたの!」


優「お袋シュークリーム好きだもんな。喜んでくれるといいな。」


美「うん!!」



駿「あー朝からうるせーよ。」

美「何よ!もー駿介にはシュークリームあげないっ!」


湊「はいはい喧嘩しないの。」



……もう本当駿介ったら意地悪ばっかり!



…私のこと嫌いなのかな。





そんな事を考えていると


優「美音。こっちおいで。」

突然優也兄が私を呼んでソファーをトントンとした。


優也兄の指示通りにソファーに行くと…


優「ちょっとごめんな。」

そう言って首元を軽く触れた優也兄。


優「ん。調子は良さそうだな。でも念のため聴診だけさせてな。」

美「えっ……」


優「すぐだから。」

そう言って優也兄は少し強引に聴診をした。




優「よーしおしまい。頑張ったな。」

美「ありがと。」


優「なぁ美音。」


ガシッと俺の手を握りながら優也兄は言った。



美「体調もそうだけど、困ったことや不安になる事があるならいつでも言え!!約束。」



優也兄はまっすぐな瞳でそう言った。






……まるでこれから起きる事を察しているかのように……
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