交わることはない

赤ちゃんと一悶着☆☆

夕方になると遥が
「ただいま」
と、病室に帰ってきた。
私も
「お帰りなさい。」
と、言うと遥は、
私にキスをしてから
手を消毒して千(ゆき)を抱き上げた。

千は、パパに抱かれたのが
わかったのか、目を開けて
ジーッと遥を見て
七湊と遥を驚かせた。

七湊は、千に母乳を飲ませながら
おじいちゃまと本木さんの話しや
亮さんと笑子ちゃんが
来てくれた話しをして
司さんと弦さんも来てくれたよ
と、話しをした。
すると、遥が
「お祖父様だね、この贈り物は。」
と、沢山の贈り物を見て苦笑いをしていた。

そこに
< コンコン >と・・
入ってきたのは、外国の人
『ワァオ、可愛い、凄く可愛い。』
と、千をみて一人で騒いでいた。

その人は、身長が190センチぐらいで
すっごいイケメン
まるで、モデルさんみたい
うん?モデルさん?
「もしかして、エドさん?」
と、七湊が日本語で訊ねると
「はい。エドアルド・ラエスタです。
あなたは、ナナミ?
そして、あなたがハル?」
と、言われて
七湊も遥もエドに挨拶をしていると
ガラッと、扉が開いて
『もぅ、エド!待ってて
と、言ったでしょ。』
と、お母さんが入ってきた。

「ごめんね。七湊に遥君
二人と千に会えるのが
嬉しかったみたいで
一人で先に行ったのよ。」
と、言うから
「「大丈夫だよ。」」
と、遥と二人で言った。

『だって、ミノリの家族に
会わせてもらえるなんて
嬉しすぎるから。』
と、みのりを抱き締めて
頬やおでこにキスをするエド
『エド、娘の前よ。』
と、みのりが言うと
両手をあげて見せる仕草をしたが
エドは、
常にみのりに触れている。

手を繋いだり、背中に手をおいたり
事あるごとにキスをする
さすがに外国の方だ
オープンだ。

遥も七湊に対して
似たようなものだけど
そんな遥は、同士ができたからか
七湊にベタベタくっついていた。

4人で色んな話をして
千を見て騒いでいたとき
ガラッと、ドアが開き
入ってきたのは、お父さん・・

お母さんとエドさんを見て
「やはり、そんなことか。」
と、二人を蔑んだように見て言う・・
エドは、父が言った言葉が
理解したのかわからないが
父の態度に動こうとしたが
母がエドの腕をそっと擦った。

私も遥も口を開かずに様子をみていた

お父さんは、ベビーベッドに
寝ている千を見て
千の頬を人撫でしてから
七湊と遥に
「また、来るよ。」
と、言って病室を出て行こうと
ドアの前で振り返り
「不貞で離婚なら訴訟を起こせば
良かったな。
若い男にちやほやされて
俺の妻だったと知る人もいるんだ。
みっともないことは止めてくれ。」
と、言ったから
「お父さん!!」
と、七湊が叫ぶと
七湊を手で制し
「あなたは、
いつも自分の事ばかりなんだなぁ
ミノリの気持ちも何もわかってない。
あの時、僕とみのりは、
不貞などしていない。」
と、エド。
「何を!!
お前に何がわかる。
20年以上も夫婦だったんだ
お前より、わかっている。」
「嫌、あなたは何もわかってない。
だけど、そのお陰で
僕はやっと、ミノリをこの手に
掴む事ができたよ、ありがとう。

僕は、ずっとミノリが、
離婚したことさえ
知らなかったんだ。

それに気持ちを伝えても
ずっと断られていたからね
だが、先日ミノリが倒れたんだ
たまたま、同じ店にいた
僕は、悲鳴でかけつけた
そこにミノリが倒れていた
僕は、ミノリが退院するまで
一緒にいたんだ。
ミノリには、何度も帰るように
言われたけど。
あなたは、自分の妻が不貞を
するとか本当に思っていたのか
その方がミノリにとっては
情けない事だよ。
ミノリは、あなたを愛していたんだから。」
と、エドが伝えると
「倒れた・・・?
愛していた・・俺を・・?」
と、みのりを見たがみのりは、
下を向いていた。
「そう、だから僕の告白にも
答えられなかった。
怖かったんだよ。
あなたとも恋愛で結婚した。
だが、10年、20年とたつと
あなたにとってミノリは、
愛する人ではなく
共に暮らすパートナーで
ナナミのお母さんでしかなかった
だから、ミノリは
また、同じような想いをすることを
恐れたんだ。
だけど、僕はそうはならない
どれだけ、美女を見ても
僕は、ミノリ以上に好きに
なれなかった
わかるだろ、僕はモデルだよ
普通でない程の美人や美女は
見てきているんだよ。
僕は、ミノリとこの先も
ずっと一緒にいたい
子供はいらない。
ナナミとハルがいるし
ユキもいるから。」
と、七湊と遥にウィンクをして
「僕は、ミノリが僕の隣に
いてくれるだけで幸せなんだ。
こんなに愛しくて
たまらない女性には
もう巡り会えないよ。」
と、言ってみのりの涙を拭きながら
みのりを抱き締めて
頭にキスをする、エド。

東吾は、
「体、大丈夫なのか?」
と、みのりにたずねると
エドの腕の中で
「うん、過労と栄養失調だから」
と、みのりは答えた。
「‥‥えっ‥と‥すまなかった
みのりの事を考えてないわけでは
なかった。夫婦だから
それに年をとって言葉にする必要もない
と、思っていた。
だが、すれ違っていたんだな・・」
と、言う東吾に
エドは、
「ああ~、もうダメだよ。
ミノリは、僕のだから。」
と、言うから
今まで、かっこ良かったのに
と、七湊と遥
みのりも東吾も笑いだし
エドは、やらかした?
みたいな顔をしていたが
みのりは、
『エド、ありがとう。
私もずっとあなたといたい。
愛してる。』
と、言うと
エドは、声をなくし口許を押さえて
静かに涙を流した。

そんなエドをみのりは
抱き締め、エドの耳元で
『あなただけ。』
と、囁いた。

エドは、みのりの頬を両手で
押さえて唇にキスをした。

東吾は、幸せそうな
二人を見て病室を出て行った。
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