その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
駅に向かって歩いている途中、自宅の近くにはないコンビニを見つけた。
自宅近くのコンビニスイーツより、こっちのコンビニのもののほうが好みだ。
つい吸い寄せられるようにそのコンビニに入って、真っ直ぐにスイーツコーナーへと向かう。
夜の遅めの時間で種類が少なくなっていたけど、選べるくらいには数が残っていた。
プリンもいいけど、ティラミスも捨てがたい。
「碓氷さん!」
残り少ないスイーツの棚を前に悩んでいると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこにいたのは広沢くんだった。
「何してるの?」
いるはずのない人を前にしてぽかんとしていると、広沢くんが眉間にしわを寄せて私を睨むように見下ろしてきた。
「碓氷さんこそ。黙って帰ったりして、何してるんですか?」
「私は帰って食べるスイーツを探してるの。広沢くん、二次会は?」
悩むけど、今日はやっぱりティラミスにしよう。
「もう遅いし、碓氷さんが知らない間にいなくなったから心配になったんです」
スイーツの棚からお目当てのものを取るために広沢くんに背中を向けたとき、ボソリとつぶやく声が聞こえて一瞬動作と思考が停止した。