極上御曹司のヘタレな盲愛
「ううん、いいの。痛かったけど、今までみたいに黙ってるだけじゃなくて、ちゃんと言えたから心は軽いの」

「うん。俺と結婚するって、桃がみんなの前でちゃんと言えるとは思わなかった。
廊下で聞いていて、光輝と思わず目を丸くしたよ。でも俺は、聞いてて滅茶苦茶嬉しかった…」

そうか…あれも聞かれていたんだ。

「それはそうと、ST製薬の事だけど…」

定時後に恵利ちゃんとスマホを見ると、ST製薬の記事がネットニュースを賑わせていた。

治験データの改ざん、大学病院への贈賄、副作用の隠蔽、それに加えて社長の背任疑惑など…。元社員などの証言もあり、数々の不正が露見したとされていた。

テレビのニュースでは、いつかのパーティーで見た男性…斎藤紫織の父親が、マスコミに追われて逃げるように車に乗る姿が何度も放送されていた。

「まだ本決まりじゃないけど…水島の製薬部門を強化するって話が前からあってさ。航我の話では、丁度いいからって、あそこをいい条件で手に入れる事になるようだ…」

「うん。末端の社員の人まで困らないようにしてあげてね。なんだか心が痛いから」

「了解」

「それと…斎藤さんも…あんまり追い詰めないであげて」

「何で?アイツはいいだろ?」

「うん、酷い事いっぱいされたり、傷つけられたりもしたけど…。そんな事をするぐらい、ずっと大河の事が好きだったんだなぁって思って。
それに大河だって、私に近づく男の人を威嚇して遠ざけたりしてたでしょう?彼女だって、大河の周りにいる私が目障りだったんだと思うし…」

「違う。アイツなんかと一緒にするな。俺はずっとお前が悠太の事を好きだと思っていたけど、悠太に嫌がらせなんてしてないだろ。
…けど…桃がそう言うなら考えておく。
だが、あの親子は日本には居させない…。あの女の最後の呪いの言葉…。
あの女を、桃の近くにはもう金輪際近づけたくないんだ…」

「うん…」

私も出来れば彼女とはもう二度と会いたくはない。

「でも…花蓮には悪い事しちゃったな…。彼女、親友だったのに…。許して貰えないかもしれない」

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