極上御曹司のヘタレな盲愛
30分後…。

「今なら恥ずかしすぎて…死ねる…」

ちゃぷん…。
いい匂いの入浴剤を入れ、微温めのお湯を張った大きなバスタブに浸かって小さく呟いた。

クククと、大河が笑いをかみ殺すのが背後で聞こえる…。

本当にこの男…イジワルだ。

結局…大河に隅から隅まで洗われてしまった…。それはもう、腰が抜けそうになるくらい念入りに…。

「もう機嫌直せよ」

「大河なんて嫌い!」

「好きなくせに…好きって言っただろ?もう一回言えよ」

「……っ!」

大河が後ろから首筋に口づけ、手を回し…胸をやわやわと触り始めた。

「もう!やっ!」

「あ、こら!暴れるなって!わかった!これ以上はしないって…今は…」

大河の手から逃れようと暴れる私を後ろから逞しい腕がギュッと抱きしめた。

大河に触れられるのは嫌じゃない…。寧ろ…好き…。
でも!初めてがお風呂なんて…なんか嫌!

「そういえば…桃は夏期休暇、なんか予定あるのか?あ!そういえば!高橋が言ってた、同期で海に行くとかはダメだからな!」

大河が私を抱きしめたまま訊く。

「恵利ちゃんとお買い物に行こうかって話してて…あとは、高等部の時のテニス部の飲み会があるだけかな。
高橋君達と海とか…きっともうないよ。今日の事、噂で聞いてるだろうし…。
あ!そうだ!テニス部の飲み会には航我君も来るのよ」

「は?女子部の飲み会じゃねぇの?男も来るのか?」

「うん、女子部と男子部合同の飲み会なの」

「わかった!航我にしっかりガードさせる」

「ダメよ!航我君にガードされてたら他の人達と話せないもん!航我君フアンの後輩達に、また独り占めしてるって睨まれちゃうよ!」

中等部までは可愛いって感じだった航我君は、高等部に上がる頃には凄く背が伸びてカッコよくなった。
キリッとした顔の大河や、お兄さんの竜牙さんとはタイプが違う、タレ目気味で優しい顔のイケメンだ。

航我君が私の一年後にテニス部に入部してくると、航我君目当ての女子がたくさん入部した。

保養所への家族旅行でも、小さい頃からしっかりしていて活発だった花蓮は、光輝や大河や悠太と遊ぶ事が多かったのだが、体も小さくてやる事もトロい私は、一つ下の航我君と遊ぶ事が多かった。

だから心の中で、航我君を自分の弟みたいにずっと思っていたんだ。

高等部に上がって凄くカッコよくなっても、航我君は可愛い弟にしか思えなくて…。大河達は避けていた私だけど、航我君とはずっと普通に接していた。

でも…双子の残念な方と呼ばれている私が航我君と仲良くしているのを、航我君フアンの後輩達は許せなかったらしく、斎藤さん達ほどあからさまではなかったけど、随分嫌味を言われたなぁ…。


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