極上御曹司のヘタレな盲愛
その後、俺は光輝とアメリカから戻って営業2課の課長に就任し、桃が大学を卒業してニタドリに入社するのを心待ちにした。

が…桃は他所で就職して家を出るつもりらしいと光輝から聞き、俺は似鳥のおじさんに懇願し、桃を強引にニタドリに就職させたんだ。

まさか…。
あの嫌がらせ女もニタドリに一緒に入社してくるとは思いもせずに…。


花蓮も斎藤紫織がニタドリに就職する事は知らなかったと言っていた。
それとなく頼まれた事もあったが、自分の力ではどうする事も出来ないと断ったので諦めたと思ったと…。
入社式で見て驚き、気づいたらシレッと一緒に受付に配属されていたらしい。

どうやら…ニタドリが製薬会社と提携して健康食品事業を広げるにあたり、ST製薬はいち早く名乗りを上げ、破格の条件でニタドリと提携を結んだ…そのコネだと言う事だった。


娘がニタドリに入社すると、再びST製薬の社長から、今度は見合いなどすっ飛ばして、うちに何度も娘と俺との婚姻の申し入れがあり、親父がそれをずっと断っていたらしい。

が…既に家を出ていた俺には何も知らされていなくて…。

桃が……こんな事になってしまった後で…。
俺はその事を両親から聞かされたんだ。


本当に…人生で一番浮かれていた日だった…。
浮かれすぎて…自分の命より大事な桃を…守れなかった…。


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