極上御曹司のヘタレな盲愛
「大河と…一緒に住んでいた…?…私が…水島…桃…?」

腕の中で見上げて訊くと、大きく頷く大河。

そういえば…。

目が覚めた後…医師が私のことを『水島さん』って、一度だけ…呼んだっけ…?


「私は本当に…大河と結婚してるの…?
この…お腹の中の子は…本当に…大河との赤ちゃん?」

大河を見上げてゆっくり確認するように訊くと、大河は優しい目で…大きく何度も頷いた。

「…う……ぅ…よかった…よか……ったぁ」

泣きすぎでぼーっとした頭の中で何とか理解したら…また涙がブワッと溢れてきて止まらなくなってしまった。

でも、さっきまで流していた悲しい涙とは全然違う涙だ。


「バカ桃…ちゃんと俺に言ってくれれば、こんなに苦しまずに済んだのに…。
ウサコ先生にも言われただろう、俺に言えって…。
なんで…いったい俺以外の誰の子だと思ったんだよ…」

「だって…高橋君が……何もかも忘れてしまったんだね…って、とても悲しそうに…。
結婚を前提に付き合ってくれって告白した事や……抱き合った日のこととか…全部…忘れちゃったのかって…言われて…」

「はあ?…抱き合った日?」

大河は眉間に皺を寄せて、思い切り嫌な顔をしながら暫く考えて言った。

「それって……。
慰安旅行の2課のテニス大会の時のことじゃないのか?お前と高橋がダブルス組んで優勝した…。
あの時は確かに、優勝して二人抱き合って喜んでいたが…。
高橋なんて、どさくさに紛れて桃に頬擦りまでしてやがった!
まぁ俺がすぐに引き剥がしてやったけどな…。ああ!思い出したらムカついた!
しかも高橋のヤロウ!紛らわしい言い方しやがって!アイツ絶対にワザとだろう!
本当に未練がましい!」

「テニス…大会で……優勝…して…」

カクンと膝の力が抜けて崩折れそうになった私を、大河がしっかりと抱きとめた。



「…ということで…」

大河は私を抱えたまま、ドアの方に向き直った。
そこには、成り行きを見守っていた、父、母、光輝、花蓮の姿が…。


「…ということで…。おじさん、おばさん…いや、違うな。お義父さん、お義母さん、今日また…桃を貰って帰っても…いいよな?」

大河は、父と母に綺麗な顔でニッコリ笑って言った。

「い…いいけど…大河…お前、お腹の中の子供って…」

父が言う。

「ああ、そうだ!
これから…桃と、俺と、生まれてくる子供の3人で仲良く頑張ってやっていくので、よろしく…。もう来年には、二人ともお祖父ちゃんとお祖母ちゃんだからな。…そしてお前らは伯父さんと叔母さんだ」

「あの…」

私が小さな声をあげると、大河が、ん?という顔で私を見た。


「4人なの…。赤ちゃんね…双子なんだって…。
だから…4人で仲良く頑張るのよ…」


「「えーーーーーーーーーー⁉︎」」


大河も含めて、私以外の全員が叫んだのだった…。


お腹の中の赤ちゃんは双子だってユキ先生に言われた…。

だから…産まないって選択肢は、私の中には全く無かったんだ…。


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