極上御曹司のヘタレな盲愛
そういえば…花蓮と悠太は婚約したけれど、いつ結婚するつもりなんだろう。
それまでに大河がどうにか頑張らないと、私も悠太もバツイチになっちゃうよ!

…そもそも大河は必ず落とすと自信たっぷりに言っていたけど、3ヶ月経っても花蓮を落とせなくて、『とりあえず』私と結婚して長期戦になっても結局花蓮の気持ちを変えられなかった場合、一体どうするつもりなのだろう…。

ここまでやってもダメかと悟った時点で花蓮を諦めて、私とも離婚という事になるのか。

それともどうにも諦めきれなくて、私か大河が死ぬまでこの『とりあえず』の結婚は続くのだろうか。

ああ、初恋も知らないままお婆ちゃんになって死ぬのって寂しいな。

あれ?私にもしかして好きな人ができた場合は?離婚してくれるのかな?

ハァ…。でも私の気持ちはきっと無視なんだろうな。
昔から大河は私に対して酷く横暴で、俺様でイジワルだった。

私は歩きながら隣の大河の端正な横顔をジッと見上げた。

「ん?どうした?」

私の視線に気づいた大河が顔を覗き込み、ふわっと笑った瞬間…私の心臓が大きくドクンと跳ねた。

こんな風に笑う大河を。
こんな瞳をする大河を私は知らない…。

まるで…愛しくてしょうがないものを見るような瞳。

気のせいだ!気のせいだよね!
だって、大河が好きなのは花蓮なんだもん!


そうだ…。

大河は『形にこだわる』って言っていた。

いくら気持ちなんてなくて手段でしかない私との婚約でも『とりあえず』婚約者だから、形式上優しくしてくれるだけなんだよね。


…そう思うとドキドキがすぅっと治っていった。

「大河…晩御飯は奢ってね」

「任せておけ!」

笑って言う大河に、何か滅茶苦茶高いものを食べてやろうと心に誓った…。


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