極上御曹司のヘタレな盲愛
そう思ったものの…小6の俺には、好きな女に贈るいいプレゼントの案なんて全然思い浮かばなくて。
双子の誕生日を迎えてしまった。

親父の運転する車に、母さん、弟の航我とともに乗って、似鳥の家での双子の誕生パーティーに向かう。
兄の竜牙は年齢が離れているからか、似鳥の家には顔を出さない。

「はぁ…」
結局、今回は母親の用意したものを渡す事になるんだろう…。
今回母親が用意してくれた双子の誕生プレゼントは、俺が薔薇の花束、航我が可愛いお菓子の詰め合わせだった。

ちぇっ!俺が大人だったら、指輪とかネックレスとか渡せるのに!

そう思った時…窓の外に、一面のコスモス畑が見えた。

風に吹かれて頼りなげにフワフワと揺れる様子が、可愛らしくてなんだか桃みたいだな…。

次の瞬間、俺は親父に車を停めてもらうよう頼み、畑の持ち主に断ってコスモスを摘ませて貰ったんだ。

うん。コスモスはやっぱり桃のイメージにピッタリだ。
花蓮には棘があるから薔薇の花がピッタリだが、優しい桃には棘なんてないから、やっぱりコスモスだろう…。

俺は満足してパーティーに向かった。


「誕生日おめでとう…」
まず花蓮に薔薇の花束を渡す。
花蓮の友達も呼ばれていて、俺が花束を渡すと、わーっと拍手が起こった。

「ありがとう。ふふ。これ、おばさまが用意してくれたんでしょう…綺麗」
花蓮がニヤリと黒く笑いながら小さな声で言ったので
「へへへ…」
と笑って誤魔化しておいた。

次は本命…桃だ!
いいか、大河…。優しくニッコリおめでとうだぞ…。
心の中で自分に言い聞かせる。

そうして摘んだばかりのコスモスを桃に渡そうとした所で、親父と母さんが、桃のおじさんとおばさんに何か耳打ちしてこっちを見てニヤニヤしているのに気がついた。

どうせこのコスモスの事を話しているんだろう。つい仏頂面になってしまう。

俺のその仏頂面を見て、桃がビクビクしている。
チッ!つい舌打ちしてしまうと、また桃がビクッとした。

「これ…」
とコスモスをいきなり桃に押しつけるように差し出した途端…。

さっきは凄くいいアイディアだと思ったのに…ラッピングもせず、いかにも今摘んできましたと言わんばかりの花が、急に恥ずかしくなった…。

花蓮の友達が、クスクスとバカにしたように笑うのも勘に触る。

俺の眉間のシワはどんどん深くなり…。
「…やる…」
とコスモスを桃の方にグイグイ押しつける。

しまった!おめでとうと言うのを忘れた!

早く受け取って欲しいのに、なぜか桃はコスモスをまん丸の目で見つめたまま受け取らない。
その可愛い瞳にみるみるうちに涙が盛り上がってきて、小さくイヤイヤをする素振りさえある。

「?」

恥ずかしいし…全身から『早く受け取れ』オーラを出すと、桃は渋々という感じで「ありがとう」と受け取ったが、花を手にとった瞬間…涙が零れ落ちて、その後なぜか号泣された!

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