極上御曹司のヘタレな盲愛
俺達が高3、双子が中等部の2年の夏…。

毎年恒例の長野のニタドリ保養所への三家族合同の避暑旅行…。

俺は久し振りに桃に会えると、朝から心が踊っていた…。

桃の姿をもうずっと長いこと見ていない。
あれから学食にも桃の姿はないし、光輝の家に遊びに行っても桃に会う事はない。

聞くところによると…光輝も悠太も花蓮も、俺ほどではないがなぜか桃に避けられているらしい。
桃は家でもあまり話さなくなり、自分の部屋に居る事が多くなったとか…。

でも…毎年恒例の家族旅行にはさすがに参加するだろう。

俺のそんな期待は直ぐに裏切られる事になった…。
桃はその年の旅行には来なかった。
桃の代わりに花蓮の友人が2人、花蓮にくっついて来ていた。

がっかりという言葉では言い表せないくらい落胆した俺を見て、光輝や悠太だけじゃなく、両親や似鳥、藤井のおじさんやおばさん達にも気の毒にという顔で肩を叩かれた。


しかも…花蓮の友人…これが最悪だった…。

双子の誕生日パーティーや学食などで見かけて…以前から、その派手に飾った見た目や仕草、ザ・女って感じのクスクス笑いやヒソヒソ話す感じが苦手…とは思っていたけど…。

友人の1人…斎藤とかいう奴が、旅行中ずっと俺に纏わりついてくるのに閉口した。
もう1人は光輝狙いらしい。

すぐに勝手に腕にぶら下がってくるし、ベタベタ触れてくるし…中学生にしては大きいその胸をグイグイ俺に押しつけてくる…。

はっきり言って、ここまであからさまに俺に迫ってくる女は、高等部にもいない…。
キモい…。引く…。

親の前でも御構い無しで…両親は勿論、似鳥や藤井のおじさんやおばさん達も苦笑いだった…。

どこかの社長の娘らしいが『うちのパパが…』が口癖らしく、自慢話ばかりしてくるのもウンザリだ。


「はぁーー」
斎藤をなんとか撒いて、川の大きな岩の陰で大きな溜息を吐いていると…。

「大河…お疲れ…」
振り向くと花蓮が眉を下げ苦笑しながら立っていた。

「なんだよ…。お疲れじゃねぇよ。言っちゃ悪いけど、お前の友達ホント最悪…。あんなの連れてくるんじゃねぇよ」

「別に友達じゃない…。あの子達を私が誘った訳でもない…。勝手について来ただけだもん!」
花蓮は眉間に皺を寄せて、思い切り嫌そうに綺麗な顔を歪ませた。

なんでも花蓮が言うには…。

斎藤達に夏休みの予定を訊かれ、俺達との恒例の旅行の事を話すと…行きたい行きたい!と散々駄々をこねられ『家族旅行だからダメ』と断ると、いつ行くのかとしつこく訊かれ…渋々答えた。
その後は何も言ってこなかったから諦めたと思っていたの…と。

そうしたら早朝…。
玄関のチャイムが鳴り、父親に送られた斎藤ともう1人が旅行用バッグを持って立っていたんだそうだ。

「娘達を一緒に旅行に連れて行って頂けるそうで…。どうぞ宜しくお願いします」
と娘達を置いて斎藤の父親はさっさと帰ってしまった。
困ったが…一緒に行きたいと二人が泣いて頼むので、結局連れて行く事になったらしい…。


< 59 / 179 >

この作品をシェア

pagetop