【短編】キミに伝えたい好きがある
遼ちゃんはいつも優しかったのに。そばにいてくれるだけで、充分だったのに。


「遼ちゃん、遼ちゃん」


こんなにも、自分が早く走れるなんて知らなかった。


火事場の馬鹿力ってこんな感じ?


「奈帆ー、待てって」


商店街を通り抜けようとした時に、バンッと肩に大きな手が乗せられた。


振り返ると拓くんだった。


ゼーハー肩で荒い息をしている。


「おまえ、めちゃくちゃ、はえーじゃん」


「拓くん、追いかけてきてくれたの?」


「夜道に奈帆を一人でいかせたら、俺が遼太郎に殺されるからな。あ、奈帆、あれあれ」


拓くんが指差す方に目を向けたら、遼ちゃんが商店街を抜けた向こう側から、走ってくる。

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