ことほぎのきみへ
……なんだか雲行きがあやしくなってる


誤解を受けるような返しをするあの人と

それを真に受けて
今にもあの人に殴りかかろうする矢那さん



私は慌てて、そんなふたりの間に入った



「あ、あの……っ
違うんです、この人はなにも…っ
私が勝手に……」


「どっちも事実だけど」


「ややこしくなること言わないでくださいっ」


「……何で俺、きみにまで怒られるんだろ」




……
……
……



「……なるほどね
とりあえず、事情は分かった」


ざっくりと経緯を話す

すぐに事情を飲み込んでくれた矢那さんは
脱力したようにため息をついた



「……はぁ……」


「……あの、心配してくれてありがとうございます
でも、本当に
えっと……ひさと?さんは何もしてないので」


「……あんた名前も名乗ってなかったの?」


疑問符をつけた私に
ぴくりと矢那さんの眉が動く

呆れたようにあの人に顔を向ける


「そうかも」

「信じらんない
自己紹介くらいしときなさいよ」


矢那さんの冷ややかな視線にも動じず
あの人は無表情のまま、私に顔を向ける


「ひさと。歳は21」
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