ことほぎのきみへ
他愛ない話をしながら
注文した料理を待っていると

不意にゆまちゃんが笑みを消して
少しためらいがちに聞いてきた


「……浮かない顔してたけど、何かあった?」

「…」

「…あ、あの、話したくないことなら全然……っ」


黙り込んでしまった私を見て
地雷を踏んだと思った様子のゆまちゃんは焦った顔

わたわた慌てながら両手を宙にさ迷わせてる


「……ううん、大丈夫
ちょっと……悩み事」


……いつもの私なら

大丈夫だから心配しないで、とか
気にしないでって答えてた


だけど…


……今は、誰かにこの気持ちを聞いてもらいたかった



「……助けたいって、支えになりたいって人がいて
でも、何も出来なくて……」

「…」

「……傍にいることしか出来ないのが歯痒くて」



…苦しい


……。


口にしたら
さらに自分の無力さを痛感してしまって
落ち込んで、視線が段々と下がってしまう

そのまま口をつぐんでしまった私に

真剣に私の言葉を聞いてくれてたゆまちゃんが
柔らかく声を返してくれた



「……傍にいることが一番
相手の心の支えになるって私は思うよ」


「…傍にいるだけで、いいのかな」



傍にいることが大事なのは分かる

ひとりにしないことが重要だってことも

だけど

何もしないでそこにいて
それで相手の気持ちを癒せるの?


傍で悩んでるのに

辛そうな姿を目の当たりにしてるのに

何もしないでそこにいることがもどかしくて

……苦しくて、辛い



「言葉や、行動よりも
黙って寄り添ってくれる存在に救われる人って
たくさんいると思うよ」



「いろはちゃんだったらどう?」



……。

…………私だったら…



「……嬉しいって、思う」
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