ことほぎのきみへ
……つゆき先輩が
女子が苦手って言っていた理由が分かった


好きな相手が自分のせいで傷ついて

それなのに守れない自分


守ろうとすればするほど
かえって亜季を傷つける結果になる



…どれだけ、辛かっただろう



「助けたのはまなぶだった
俺には出来ないやり方で、言葉で
まなぶは亜季を助けた
…そして、俺の事も」



「敵わないって思った」



その後、亜季とまなぶ先輩は付き合い始めた

つゆき先輩は最後まで、亜季に想いを告げず

そのまま、つゆき先輩の恋は終わった



「…罪悪感があったから
言わなかったんですか?」


「それもある
好きなやつを守れなかった自分に苛立った事も
情けなくて、まともに顔を見れなかった事も
……理由なんて、たくさん出てくる
けど、一番は…」



「俺は、まなぶには勝てないって
あの瞬間、はっきり分かったからだ」



……どんな光景を思い浮かべたんだろう


その時の、つゆき先輩の表情は


泣きそうな

苦しそうな

でも、どこかほっとしたような


そんな顔で


見ているとこっちまで
その感情に引き込まれる位


切なくなるものだった



「まなぶも亜季も
あんなことがあったのに
今でも、変わらず一緒にいてくれる
一度だって、俺を責めたこともない」


「そんな優しいあいつらに俺は救われた
だから俺は
あいつらが、笑って一緒にいられるように
自分に出来ることをしようって決めた」


「ずっと、親友として
傍で見守っていこうって決めたんだ」


つゆき先輩はそう言って、優しく笑う


確固たる信念のような言葉
それは、戒めのようにも感じる
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