私のかみさま
…ん?……というか…



「…自宅前?」



思わず口から溢れる疑問


この辺に家なんか建ってない

そもそも山の頂上だし

道中、山小屋なんてものも見なかった



「…」



………ホームレス?


きょろきょろとあたりを見渡すけど
段ボールの床や家は見つからない

それに服装は変だけど、身なりはちゃんとしてる

ホームレスってわけではなさそう



「家なんてどこに…」

「あるだろ。お前の目の前に」

「目の前にって…」



……………まさか、あれ?

……いやいや、だってあれは…



「…お社じゃないですか」



目の前にあるのは、古びた小さな社


屋根や賽銭箱…
至るところが随分とぼろぼろで


小さな頃、訪れた時よりも
随分寂れたような印象を受ける


ぽつんと佇(たたず)む小さな社


見ていると
なんだか、もの悲しい気持ちになってくる




「そうだ。その社が俺の家だ」



…。



「……そうなんですか」



…………うん



不審者確定



社が家って…


どう考えても、どう見ても
人が入れる大きさじゃない

入れるのはせいぜい犬や猫、小動物程度のもの
< 11 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop