私のかみさま
「なんで謝る?」


背後から響いたのは、不思議そうな声


「…」


びくりと肩が跳ねる




……………………なんで……




見られたくない姿


聞かれたくない言葉



……いつもだ



どうしていつも


この人は狙ったように



その瞬間を押さえるんだろう



反射的に走り出す



いや、違う



逃げ出した




けど、榊はそれを許してくれなかった


横を通り抜けようとした私の腕を
しっかりと掴んで止めた



「待て待て、なんで逃げる」

「……離して、ください……」

「離したら逃げるだろ」

「……なんで、ここにいるんですか……」



心の準備もまだだったのに
いきなり、後ろから登場されて動揺が隠せない

声が上擦る



「家の近くにいるのは
おかしなことじゃないだろ」


「今度はこっちが質問する番だ
なんで泣いてる?」


「な、泣いてません……」



慌てて目元を腕で覆い隠す


とまれとまれと祈りながら
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