溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
そんな前から私を気にかけてくれていた事実に驚き、声をあげることすらできなかった。
今まで私は悲しくてつらい思いを、ひとりで抱えてきた。でももう、ひとりじゃない。
この切ない思いを理解してくれる人が目の前にいるという安心感で気が緩み、涙が再び込み上げてきてしまった。
「泣き虫だな」
彼はそう言うと、私の頬に伝う涙を指先で拭ってくれた。
その優しさに触れ、ようやく自覚した。
「好き……です」
胸いっぱいに広がった思いが口からポロリとこぼれ落ちしまい、慌てて口をつぐむ。けれど目と鼻の先にいた彼に聞こえないはずがない。
私の涙を拭っていた彼の指が離れ、ふたりの間に沈黙が流れた。
彼には許嫁がいる。それなのに部下であり、ただの同居人である私に好意を寄せられたら、困るのは当然だ。
後先考えず、自分の気持ちを押しつけてしまったことを後悔した。けれど……。
「俺も好きだよ。菜々子……」
耳を疑うような言葉を聞き、しきりに瞬きを繰り返していると、彼が私の隣に腰を下ろした。
近すぎる距離が恥ずかしい。
思わずうつむくと、顎に彼の指先が触れて力がこもった。そして上向きになった私の目に、彼の顔が徐々に近づいてくる姿が映る。