溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

自宅マンションに上がった彼が、リビングダイニングをグルリと見回す。

「綺麗にしているな」

「そうですか?」

私を騙した彼と新婚生活をスタートさせる場所として決めた、このマンションのリビングダイニングの広さは二十帖。ダイニングには四人用のテーブルセットを、リビングには大型テレビと三人がけのソファを配置している。

ゆったりとくつろげるこのリビングダイニングは、ひとりで暮らすには広すぎる。背が高い彼がいて、丁度いいと思った。

「専務、座ってください」

「ああ」

「料理ができるまで、テレビでも見ていてくださいね」

ソファに座った彼に声をかけると、キッチンに向かおうとした。けれど、すぐに手首を掴まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

「手伝うよ」

「でも、家事が苦手なんですよね?」

「そうだが……。手伝う」

ソファから立ち上がった彼の手は、まだ私の手首を掴んだまま。その温もりを感じたら、キスを交わして素肌に触れたあの夜を思い出してしまった。

スーツを揃えてくれたお礼がしたい一心で家に誘ったけれど、少し考えが足りてなかったかも……。

「あ、ありがとうございます」

彼の顔を見上げてぎこちなくお礼を伝えると、ようやく手首が解放された。

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