溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
そう思っていると彼が寝室に現れた。その姿は上半身裸で、首からかけたタオルで濡れた髪を拭いている。
きっとシャワーを浴びたのだろう。
ベッドの上からその様子を見つめていると、彼とパチリと目が合った。
「おはよう」
「お、おはようございます」
窓から差し込む明るい日差しの中で見る鍛えられた裸体は、まるで彫刻のように美しい。
あの胸に頬を寄せて泣いたのだと思うと、今になって羞恥を覚えた。
ほんのりと熱くなった頬を隠すために、手元に毛布を手繰り寄せる。けれど彼は勝手に恥ずかしがる私に気づくわけもなく、ワイシャツの袖に颯爽と腕を通した。
「申し訳ないが、これから仕事なんだ。精算は済ませておくから、チェックアウトの時間までゆっくり過ごしてくれ」
「はい。ありがとうございます」
土曜日の今日も仕事に追われる忙しい彼を不憫に思ったものの、私にはどうすることもできない。
「あ、それからキミの忘れたい嫌なことだが、よかったら俺に話してみないか?」
「えっ?」
「ぶっちゃけたら、案外スッキリするかもしれないぞ」
ネクタイを締めた彼が、やわらかく微笑んだ。