溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
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三十歳の誕生日を迎え、同期や学生時代の友人からの結婚披露宴の招待状が次々とポストに舞い込むようになったことをきっかけに、私は彼氏もいないのに結婚を意識するようになった。
善は急げと、すぐに出会いを求め、ネットで見つけた婚活パーティーに参加することにした。
ライトアップされたレインボーブリッジが綺麗に見えるお台場のホテルの会場で、シャンパンを片手にひとり途方に暮れる。
初めての婚活パーティー。いったいどこまで気合いをいれていいのかわからない。とにかく悪目立ちするのだけは避けようと、肩先まである髪はそのままに、膝下丈の黒のストレートワンピースをチョイスした。
けれど、自分以外の女性参加者はパステルカラーのドレスや、ふんわりしたフレアスカートスタイル。華やかでキラキラした彼女たちを目の前にして、気後れしてしまう。
私には婚活パーティーは場違いだった……と、早くも後悔し始めたとき、ひとりの男性と目が合った。その人は私のネームプレートを見ながら「雨宮(あまみや)さん。少しお話しませんか?」と声をかけてくれた。
紺色のスーツ姿の彼に返す言葉は決まっている。
「はい。もちろんです」と返事をし、仕事や趣味の話を交わす。そして、その日のうちにお互いのナンバーを交換すると、次に会う約束を交わした。