溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
「でも……」
「大丈夫。雨宮さんのフォローは俺がする」
パーティーに同行することを躊躇っている私を、彼がじっと見つめる。
そのまなざしは真っ直ぐで揺るぎなくて、引っ越しのときと同じように、彼と一緒ならなにも心配ないと思えてしまうから不思議だった。
「わかりました。同行させていただきます」
「ありがとう」
「いいえ」
同行することを同意した。けれど、すぐにパーティーのドレスコードが気になり出す。
「あの、専務?」
「ん?」
「創立記念パーティーに、広海さんが選んでくれたドレスを着て行ってもいいですか?」
スーツは頻繁に着用しているものの、ブルーのドレスはまだ一度も袖を通してない。パーティーのドレスコードに合うのなら、あのドレスを着て行こうと思い立った。
しかし彼は、私の考えをやんわりと否定する。
「広海が選んだドレスよりも、俺が選んだピンクのスーツの方が雨宮さんには似合う」
褒められたのかそうでないのか、よくわからない。けれどパーティーにはブルーのドレスではなく、ピンクのスーツを着て行けばいいということだけは瞬時に理解できて、「わかりました」と返事をした。
ヤマギシフーズの創立記念パーティーは午後六時から始まる。それまでは通常業務をこなさなければならず、ブルーのドレスに着替えている時間などないことに気づく。
彼に指定されたライトピンク色のスーツは色も華やかだし品がある。同行者として相応しい格好だ。
「雨宮さん。明日はよろしく頼むよ」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
話が終わり、再び料理に手をつけ始めた彼とふたりで微笑み合った。