雨上がりの夜空は
「あ~そうだったね~…。
丁度あそこにいるけどね~、彼」

「うん…そうだね」

私も奈保と愛実の視線の先を一緒に見つめる。
そこには…中学時代に同じ野球部員だった男子達同士の中で太陽のような明るく眩しい笑顔ではしゃぐ無邪気な彼…坂口陽(さかぐち よう)の姿があった。
みんなと同じく5年前の中学生だった頃の彼の姿から背も伸びてスーツを身にまとった大人の男性にはなっているけど……

「…なんかさ、坂口スーツ似合ってないよね?」

奈保がおそらくみんなも思っているだろう本音をストレートに呟く。

「あー…うーん…まぁ、坂口は元々顔が爽やかだけど可愛い系っていうか…悠馬くんみたいな爽やかカッコイイ系ではないよね~。
性格も明るくて無邪気だからわんこ男子キャラみたいな感じだし、可愛い系の顔にスーツってちょっと幼く見えなくもないというか…」

「奈保~愛実~それでも私は坂口好きだったんだからスーツ姿があまり似合ってないところは見逃して~」

「まぁでもさ、今はもう坂口のこと吹っ切れたんでしょ?」

「そりゃね、遠距離だけど彼氏いるし」

「ちょっ!雪穂あたしそれ聞いてないぞ~!どこで知り合った!?吐け~!」

「いいぞ~奈保ちゃんやれやれ~!」

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