【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「大丈夫だ。すぐに助けたから後遺症はない。明日には退院出来る」
俺の答えを聞いて、親父は安心したのかフーッと息を吐いた。
「そうか。彼女を誘拐した犯人は?」
秋人の顔が浮かび、憎らしげにスーッと目を細める。
「まだ逃亡中」
「それは厄介だな。警備をつけよう。お前も綾香さんが退院するまではついていなさい。念のため、花山院商事の社長の警備も強化する」
父は顎に手を当て、意外な発言をする。
綾香の父親が生きていることを親父も知っている。
父のいう『花山院商事の社長』というのは秋人ではなくて、綾香のお父さんのこと。
多分親父は秋人を花山院商事の社長とは認めていないのだろう。
「彼女との婚約を破談にさせたかったのでは?」
そんな皮肉を口にすれば、親父は俺の目を見て言った。
「気が変わった。お前の人生の伴侶だ。好きに選べばいい。それに、いいお嬢さんだと思う」
一体どういう心境の変化だろう。
親父は綾香に三度程会ったことがあるが、挨拶だけで、会話らしい会話をしたことがなかった。
俺の結婚相手に求めるのは家柄で、どういう人間かは関心がない。
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