【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

ポツリとそんなことを呟けば、綾香は「ん？」と首を傾げる。
「今、なんておっしゃいましたの？」
彼女が聞き返したその時、会議室のドアがバタンと開いて海外戦略室の面々が現れた。
「大丈夫か？……って……あれ？」
床で気絶している秋人を見て大谷さんが目を丸くする。
その横で剣持さんが、「なんだ、俺達出番なしかよ」とハハッと笑い、ネクタイを外して秋人の腕を縛り上げる。
剣持さんの後ろにいた藤原も自分のネクタイを外して秋人の両足を縛りながら俺と綾香に目を向けた。
「氷堂が彼を倒したんだろうけど、ふたりとも怪我はない？」
「俺はなんともない。綾香が首を少しナイフで切られたが軽傷だ」
俺が彼にそう返すと、綾香もスーツのジャケットで胸元を隠しながら付け加える。
「痛みはないですし、大丈夫ですわ」
「危険な奴だし、大怪我じゃなくて良かったよ。でも、今はショック状態で痛みを感じないのかもしれない。そのうち痛みが襲ってくることもあると思うし、医務室か病院で診てもらった方がいいよ」
藤原のアドバイスにコクッと頷く。
「ああ。そうするよ」
確かに今の綾香を見ていると、落ち着き過ぎていて逆に心配になる。