【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

俺達の会話に彼女は異議を唱えた。
「大袈裟過ぎますわ。こんなの怪我のうちに入りませんもの」
「ダメだ……!?」
彼女に反論しようとしたら、廊下が急に騒がしくなって、警官が五名駆けつけた。
「花山院秋人ならここです」
大谷さんが目の前にいる秋人を指差せば、警官は呆気に取られた顔をする。
秋人はまだ失神していて、起きる気配がない。
「これは……一体？」
ネクタイで両手両足を縛られた秋人を見ながら警官のひとりが俺たちに問う。
「ナイフを持っていたので抵抗したんですが、こちらも手加減ができる状況ではなくて……彼は気絶しました」
警官に簡単に事情を説明していると、秋人の事件を捜査していた刑事もふたり現れ、
秋人を起こして、連行していく。
その時、彼が俺と綾香を振り返って睨みつけ、「俺は絶対に刑務所になんか入らないからな！」と捨てゼリフを吐いた。
そんな秋人に向かって彼女は声を張り上げる。
「あなたは罪を償うべきです！」
あんなに怖い思いをしたのに、彼に対して毅然とした態度を取る彼女を凄いと思った。
普通の者にはない気品とオーラが彼女にはある。
綾香の言葉を聞いて、秋人は思い切り顔をしかめた。