君へのLOVE&HATE
香椎 穂積

彼はわたしの弱みを握っている。

私が姉の婚約者のことを好きであること
私が姉の婚約者と関係があることも

彼は全て知っている。


そして
・・・・まだ彼への思いを断ち切れていない私の気持ちも知っている。


穂積は
「おれを身代わりにしたらいい」

という。

私にキスする穂積を
私を、抱きしめる穂積を
「君が好きな婚約者だと思えばいい」
と笑顔で言っていた。

最初は、
穂積の話をばかげてると思って
相手にしなかったけれど・・・
私が
自分の気持ちが不安定になったとき、
穂積はそばにいてくれた。

今みたいに、キスしたり体を重ねたりそんなことはせずに、ただ、そばにいて同じ時間を過ごしてくれた。
放課後、ただただ教室や図書室や・・学校でとりとめなく話をしたり
一緒に宿題をしたり・・・

穂積は気が付くと、ただただそばにいてくれた。
私が、無理しなくていいというと
「俺が一緒にいたいだけだから」
と穂積はいう。

まるで私の気持ちがわかっているのか・・
私が不安定なときに
いつも穂積はさりげなく近くにいてくれた。



それがいつの日か、穂積の都合で会うことが多くなった。

穂積がなぜ私を求めているのか、わからなかった。

姉の婚約者とのことを、強請るわけではないし、
むしろ、そのことにはまったく触れなかった。

私に特別な感情があるのかと思ったこともあったけれど、
いつも、私のことは嫌いというからきっと違うのだろう。

嫌いだから、意地悪をしているのか、
それとも
なにかの罰ゲームなのか。

ただ、わかることは

私は穂積との関係をいつのまにか・・断ち切れなくなっているということ。




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