家族


彼女といると自然に息が出来た

楽だった

大人しい彼女は逆らう事はない

自分からなにかを言うタイプの女ではなかった

出逢って半年程した頃‥‥

彼女が妊娠した

その時‥‥初めて自分の罪を感じた

自分は妻帯者で‥‥既に妻がいる身だった

責任を取ろうにも‥‥

妻がいる

妻に離婚を切り出すのか?

それでもいい

だが‥玲音はどうなる?

悟史は悩んだ

悟史は亜依に「自分には妻がいる」と告白した

すると彼女は「知っていたわ」と返ってきた

「こんな狭い町で同じ会社に勤めてれば‥‥聞きたくない事だって聞こえてくるわ‥‥」

「知っていたのか?」

「ええ‥‥この子は私が一人生みます
あなたは何も責任を感じなくて大丈夫です
奥さんと別れてと言う事もありません‥‥」

彼女はそう言い一人で子を産み育て始めた

悟史は生れた女の子を手にして愛が募った

男の子には感じなかった父性が沸々とわきだして‥‥

彼女の言葉に甘えた



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