家族


週末しか逢えない

週末、工場の管理をしに水上町の方に出向く時は絶対に他の用は入れない様に心掛けた

玲音がサッカーの試合を観に来てと言っても

授業参観だと言っても‥‥

週末は絶対に水上町の方に出向いた

仕事だ!と言う大義名分を掲げて

子供を排除した

男の子が可愛くないからじゃない

玲音は我が子だ

愛しい

だが男の子は難しい

そうやって週末は向こうの家族を優先にしてると‥‥

何時しか玲音は何も言って来なくなった

顔を見る事もなくなり‥‥

悟史はますます亜依の方へ‥‥

亜依との子、真依をその分可愛がった

玲音が可愛くない訳ではないのだ‥‥

だが‥‥何時しか‥‥亜依といる方が楽になってしまっていた



それは逃げなんだと解っていた


こんな日が永遠に続くなんて‥‥


想ってはいなかった





亜沙美が入院した

過労だった

連絡が来たのは週が始まった月曜日だった

亜沙美はLINEで「お忙しいでしょうからお見舞いには来なくても宜しいです」と送って来た

その時やっと‥‥悟史は‥‥家族の中に自分がいない事に気付いた

好きで結婚したのに‥‥

水上町の方の工場へ監査管理が移動になり、水上町へ出向いているのが噂になり

悟史は自分の住んでる街に亜依達を引っ越しさせた

近くに来た亜依達と共にいる時間が増えて

亜沙美達と一緒にいる時間は減っていた

自分がそうして来た結果なのだ

一つの家庭を蔑ろにした結果なのだ

どっちにも着かず

どっちも選べず

来たツケが来たとしても‥‥おかしくはない

悟史は家族の在り方を考えていた

家族を壊したのは自分なのに‥‥

答えを出せずにいた‥‥




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