家族
結末


亜沙美はピンポンと鳴り響くインターホンの音に、引っ越しの準備の手を止めて玄関に向かった

ドアを開けると、つい先程まで夫だった悟史が立っていた

その横に亜沙美と正反対の女性と女の子が立っていた

亜沙美は三人を「どうぞ、散らかってますけど!」と言い家の中へと招き入れた

リビングには玲音が待ち構えていた

亜沙美は電話を切った後、玲音に

「あの人が女の人を連れてうちに来るわ」と告げた

「何で!今更!!」

玲音は怒った

だが亜沙美は笑っていた

「今更だから逢いに来るしかないんでしょ!」

と訳の解らない事を言った

「離婚やめたなんて言わないよな?」

「あぁ、あれね、もう提出しに行ったわよ
あの人が家を出て行った後、買い物に行くついでに提出して来たわ!」

亜沙美はケロッとして言った

母のフットワークの軽さを玲音は忘れていたのだ

活動的で身動きの早い母は思い立ったが吉日だとばかりに動くのだ

離婚届を貰ったのなら、即役所に行き手続きして来ない訳がないのだ!

亜沙美はケラケラと笑って

「これで晴れてあなたも神薙玲音ね!
母さんや父さんに離婚した事を告げたら、帰ってらっしゃいと謂われたわ‥‥
厳しい家でね、高校卒業して直ぐに結婚する事に反対されて‥‥親とは疎遠になってたの
今回の離婚で親子の関係も修復出来そうだし、一石二鳥だったわ!」

と言った

転んでもただでは起きない

そんな母の明るさや強さが玲音は好きだった


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